世界の果てに - 百年の光 -
「盗み返して感謝されることもあったし、盗み返した盗賊からは、恐れられることもあった。俺たちは悪党の間で、ある意味有名だった」
「………」
「殺したいほど憎まれてるなんて、思いもしなかったけどな」
あ。…きっとエル、あの時のことを思い出してる。
結局あたしが振った話題は、エルを苦しめたんだ。
「……ごめん」
蚊の鳴くような小さな声で、そう呟く。
エルは何か言おうと口を開きかけて、最終的にはため息をついた。
「とにかく、余計なことは考えんな。さっさと寝ろ」
頭をぐりぐりと撫でられ、あたしはしょんぼりと下を向いたまま頷いた。
「…お前が元気ねぇと、調子狂うんだよ」
その一言に、勢いよく顔を上げる。
え…今、何て?
「……エル」
名前を呼んでも、エルはあさっての方向を向いていて、返事はない。