世界の果てに - 百年の光 -
ティアラは涙に濡れたまま、あたしに微笑む。
「…ありがとうは、こっちのセリフよ」
「そんなことないよ」
「あるわ。…でもあなたなら、私がいなくても大丈夫だった気がする」
「そんなことないってば」
ティアラにつられて、あたしも笑った。
「…そろそろ、時間ね」
ティアラの手が、あたしから離れる。
そして、そうだ!と思い付いたように口を開く。
「リオ、覚えておいて欲しいことがあるんだけど」
「何!?」
食いつくようにそう訊くと、ティアラは苦笑して言った。
「私、本名は冠 光里っていうの」
「かんむり、ひかり…?」
「そ。だから、"ティアラ"よ」
ティアラはそう言ってウインクをすると、ポカンと口を開けるあたしを笑った。
「覚えておいてね!」
―――その笑顔を最後に、あたしは闇に溶けた。