世界の果てに - 百年の光 -
もう何回やったか分からない素振りを、エルはまだまだと言って続けさせる。
「時間がねぇんだ。弱音吐いてる暇あったら剣振り下ろせ」
「……うう~…」
まさにその通りで、あたしは反論できずに唸る。
オーガとアメルティカで落ち合うまで、もう一ヶ月もない。
その間に、国王とやりあえるくらいに、あたしは成長しなきゃいけないんだ。
…果たして、そんなことできるのだろうか。
それからプラス二時間ほど、地獄の時間は続いた。
お昼を食べて、毎日三時間練習すると約束させられ、出発する。
「……ありがと、クリス」
『いいえ』
荷台に揺られながらお礼を言うと、くすくす笑いが返ってくる。
さっきのスパルタ特訓で、すっかりバテたあたしは歩く気力すらなかった。
『…リオさんが、羨ましいです』
空を眺めるあたしに、ポツリとクリスが呟く。