世界の果てに - 百年の光 -
「…あれ、そういえば知らないかもね」
「もしかしてすんごいババァだったりすんのか?」
「エルッ!」
噛みつくようにエルの名前を呼ぶと、クリスの笑い声が響く。
『期待に添えなくて申し訳ありませんが、わたしは16歳です』
「じゅうろく!?」
あたしが驚くと、それを聞いたエルとアスティもそれぞれ「何だつまんねぇの」「へぇ。あんまり変わらないね」と感想を漏らす。
「…そっかぁ…。なら、まだまだこれからだもんね!早く元の姿に戻れるといいね」
にっこりと笑顔を向けると、クリスの瞳が優しく笑い返してくれた。
それから、何日か野宿を繰り返した。
ちゃんとエルの言い付けを守り、毎日三時間のスパルタ特訓を受けたあたしは偉いと思う。
エルの愚痴やら文句やら、怒声やらを受け流し、必死に剣を振るった。
ようやく剣の基礎を覚えてきた頃、あたしたちは途中にある村に立ち寄った。
―――この寄り道が、あたしに大きな影響を及ぼすとも知らずに。