世界の果てに - 百年の光 -
その村の雰囲気は、一言で言えば「暗い」だった。
「……何か、変なにおいしない?」
あたしが顔をしかめると、隣にいたアスティがクン、と鼻を鳴らす。
「うーん、空気が淀んでるね」
空気というか、村全体が淀んでるような気がした。
枯れ木が立ち並び、間に立つ家は、少しの揺れで崩れてしまいそうなくらい脆く見える。
人影もあまりなく、ポツポツと見える人は、その顔にあまり生気がない。
「…何か怖いんだけど」
「面倒くせえ村に来ちまったかもな」
エルがため息と共に、肩を竦める。
なら、今すぐ出よう!と言いかけたとき、
「――――あんたたち、よそ者?」
背後から、女の人の声がした。
慌てて振り返ると、二十代ぐらいに見える女の人が、腰に手をあて、仁王立ちで立っている。
茶髪のショートヘアに、緑色の瞳。綺麗な形の眉は、ひそめられていた。