世界の果てに - 百年の光 -

三十代ぐらいの、男の人だった。


腕や足、それに…顔の至るところまで、不気味な痣が覆っている。


その虚ろな瞳は、一点を見据えていた。


「あなた!どこ行くの!」


男の人のすぐ後ろから、女の人が飛び出してきた。


すらっと伸びたその腕にも…同じ、痣。


「うるせぇ!このまま死ぬくらいなら、ガツンと一発悪魔に言ってきてやる!」


「やめて頂戴!もうすぐ…もうすぐ、次の生け贄が捧げられるわ!そうしたら、助かるかもしれないでしょう?」


―――――…生け贄?


その単語に、身体が震える。


この人たちは一体、何の話をしているの…?


「おい」


エルの乱暴な口調にハッとする。でも、エルが見ていたのはあたしじゃなかった。


「教えろ。この村で、何が起きている?」


有無を言わさないエルの気迫に、女の人は一拍置いてからため息をつく。



「―――――ついて来なさい」

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