世界の果てに - 百年の光 -
女の人は、リエラと名乗った。
「この村…プレッタは、ここ最近でガラリと変わってしまったの」
使い古されたカップに、リエラがお茶を注ぎながら言う。
リエラの家は、村の隅に小さく建っていた。
「以前は、活気に満ちて、自然に囲まれた村だったわ」
想像つかないでしょう?と、リエラは悲しそうに笑う。
あたしたちはカップを見つめたまま、話を聞いていた。
「…でもね、本当に突然、病がこの村を襲ったの」
「……さっきの、痣のこと?」
アスティがそう訊ねると、リエラはコクリと頷く。
「あっと言う間に広まって、何人も村人が亡くなった。…まるで、悪魔に呪われたかのように」
悪魔に―――…
さっき見た男の人の痣を思い出して、あたしは身震いした。
「その痣ができる原因は?」
鋭い視線を、エルがリエラに向ける。
リエラは一拍置いてから、首を横に振った。