世界の果てに - 百年の光 -
手のひらをぐっと握りしめると、左隣のアスティが口を開く。
「…選ばれた生け贄は、どうなるの?」
その質問に、あたしはハッと息を呑んだ。
聞きにくくて、でも想像できてしまうことを、そんな簡単に…!
リエラは一瞬目を丸くしてから、弱々しく微笑んだ。
「この村の外れに、"迷いの森"と呼ばれる薄暗い森があるの。そこに連れて行かれて…出ることを禁じられるのよ」
「それって…」
「命が尽きるまでさまよえ、ってことよ。一瞬で命を奪われるより、残酷な方法よね」
森の中、置き去りにされて…一人で生き抜ける人なんて、そうそういない。
生け贄だと選ばれた時点で、きっと生きる気力さえ失われてしまう。
「………ひどい」
口から零れ出た言葉に、エルとアスティがあたしを見たのが分かる。
それでも二人とも何も言わず、視線をリエラへ戻した。
「実際、生け贄捧げて効果あったのかよ」
エルの問いに、リエラは「まさか。ないわよ」と言って肩をすくませる。