世界の果てに - 百年の光 -
実際、病の原因は悪魔の呪いってわけじゃないはず。
それでも、村人は生け贄を選ぶことで、安心しようと…助かろうとしている。
生け贄に選ばれた人の気持ちなんて、考えもせずに。
「次の生け贄は、いつ決まるの?」
アスティはお茶を一口飲んでから、まるで天気を聞くような調子で訊ねた。
「そろそろだと思うわ。またきっと、病に感染していない女子供が…」
リエラの言葉が途切れたのは、扉を叩く音が聞こえたから。
不審そうに眉をひそめ、リエラが腰を上げる。
「どちら様?」
そう訊くや否や、リエラが扉を開けた。
その先にいたのは、数人の男の人と…お爺さん。
「……っ、長老!」
リエラの身体が強張り、あたしは思わず息を呑んだ。
長老って…まさか…
「リエラ。君が、次の生け贄に選ばれた」
―――神様はやっぱり、残酷だ。