世界の果てに - 百年の光 -
今までの疲れが報われた気がして、あたしは巨大な木へ駆け寄った。
そして、空洞を覗き込んで―――後悔した。
「……う、そ、でしょ…?」
暗闇に光る、二つの眼。荒々しい息遣いに…剥き出しになった牙。
もしかして、もしかしなくても…
「い―――や―――っっ!!」
あたしは脱兎のごとく、木に背を向けて走り出す。
どうして、猛獣の住みかになってるのよ―――っ!
「グルルルル…、ガルッ!」
背後から聞こえる音から察すると、どうやらあたしは追いかけられているらしい。
右手には、剣がある。……でも、無理!やっぱり無理っ!
「………っ、助けて…!」
必死に吐き出した言葉は、虚しく消える。
すでに体力は限界で、今にも足がもつれて転びそうだった。
猛獣を何とかして撒こうと、急カーブをして左に折れる。
そのとき、勢いよく何かにぶつかって―――倒れた。