世界の果てに - 百年の光 -

アスティの言葉にいち早く反応したのは、ちびっこだった。


「~~~っ!邪魔じゃない!全っ然邪魔じゃないっ!」


これでもかってくらいに真っ赤な顔で、俺の手を振り払う。


俺が掴んでいた部分を、ちびっこは反対の手で擦った。


「エル、の…バカァ!」


「あん!?そんな強く掴んでねぇだろーが!」


「そういう問題じゃないでしょっ!?」


思わず言い返すと、いつもの喧嘩が始まった。


…けど、これでいい。


ちびっことの距離は、これぐらいがちょうどいいんだ。



―――『俺は―――…』



さっき何て言おうとしたかなんて、自分でも分からない。


分からないから…もう、何も言わなくていい。


「……アスティ」


笑って俺たちを見ていたアスティは、呼ぶだけで訊きたいことが伝わったのか、小さく頷く。

< 442 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop