世界の果てに - 百年の光 -
「うう…っ、ありがと、アスティ…!」
「いえいえ。リエラと…エルにもお礼言わなきゃね」
子供をあやすように、ちびっこの頭を撫でながら、アスティの視線が俺に向く。
…何でこっちを見る。ってか、その笑みは何だ。
妙に苛ついて睨み返すと、ちびっこがちらりと俺を見た。
涙に濡れた瞳は、何かに葛藤しているかのように揺れている。
僅かな沈黙の後、ちびっこはゆっくりと口を開いた。
「……エル…来てくれて、ありがとう」
「………」
「寝かせてくれて…ありがとう」
さっきまで、目も合わせようとしなかったくせに。
こういうときだけ真っ直ぐに俺を見るから、言葉に詰まる。
「……別に」
短くそう言うと、何故か笑顔を見せるちびっこ。
ああもう、だから俺は、振り回されるのには慣れない。
―――この気持ちに、名前なんか付けなくていい。