世界の果てに - 百年の光 -
あたしのことを心配してくれて、でも、ちゃんとあたし自身の気持ちも考えてくれる。
きっとあたしは…エルのこの分かりづらい優しさに、安心するんだ。
「うん…約束する。ありがとう、エル」
へへ、と笑ってお礼を言う。
エルはフンと鼻を鳴らすと、クリスの手綱を引いた。
「先に宿の確保しよーぜ。手当たり次第に探せば、どっかしら空いてるだろ」
あたしとアスティは、顔を見合わせて笑うと、エルの後に続いた。
………それから、宿を探すこと一時間。
思ったよりも、簡単なことではなかったみたい。
「悪いね。一ヶ月前から、予約で一杯でね…」
もう耳にタコができるくらい聞いた台詞を、宿主のおばさんが言う。
言葉を返す元気もなく、あたしたちはその宿を出た。
「ああ~…もう野宿は嫌なんだけど…」
あたしの嘆きを掻き消すように、表通りはガヤガヤと賑わっている。