世界の果てに - 百年の光 -

ひどい!と思わず怒鳴ろうとして、やめた。


こんな悪ふざけをするのも、あたしの緊張を解こうとしてるだけなんだって気付いたから。


「…ふんだ!まだ寝るには早いし、情報収集行くわよっ!」


それでも素直にお礼を言うわけにはいかず、口を尖らせてそう言った。


口元に笑みを浮かべたまま、アスティが頷く。


「そうだね。リオとエルは置いて、オレだけで行くって手もあるけど」


「~アスティ!」


「あはは、冗談だよ」


再び顔を真っ赤にするあたしの横を、アスティがひょいと通りすぎる。


「先に下りて、クリスにご飯あげてくるね」


からかうように笑って、アスティは階段を下りていく。


残されたあたしは、ちらりとエルに視線を向けた。


「ーーーーー行くぞ」


「へ?」


「行かねぇのかよ」


「あ、行く!」


てっきりまたからかわれるかと思ったあたしは、エルの普通の態度に反応が遅れた。


< 469 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop