世界の果てに - 百年の光 -
口をつぐんだあたしを、エルの琥珀色の瞳がじっと見つめる。
その瞳から目を逸らすことも、何か言葉を発することも出来なかった。
ーーーーーいなくなる。
そうだ。あたしはここで国王を倒して、元の世界に帰るんだ。
お母さんにお父さん、それからお兄ちゃんのいる、平穏な世界に。
そんなこと、もう分かりきってるはずだったのにーーー…
「ーーーーー褒美だ」
エルが突然言った言葉に、あたしは驚いて反応が遅れた。
「……え?」
「お前がその剣で全てを終えたら、褒美として呼んでやる」
それでもポカンと口を開けたままのあたしに、エルが「名前をな」と付け加える。
国王を倒したご褒美に、名前を呼んでもらうってこと…?
「…な、何それ。それがご褒美?」
「呼ばれたいんだろ。文句あんのか」
「呼ばれたいって…」
驚きを通り越して呆れたあたしは、思わず苦笑した。
相変わらず、言ってることめちゃくちゃなんだから。