世界の果てに - 百年の光 -

…それでも、嬉しいなんて思っちゃうんだけどね。


「はいはい、エルが名前呼ぶのなんて、ものすごく価値があるもんねー」


「当たり前だ」


国王を倒すのと同じくらいの価値だもん。


たった二文字、口にすればいいだけなのに。


「…もしかして照れてるの?」


「あん?」


「何でもないですー」


あからさまに嫌そうな顔をされ、あたしは肩を竦めてみせた。


エルがあたしの名前呼ぶことに照れるとか、ないない。思い上がりもいいとこだ。


…ちょっと寂しいな、とか思うのは、胸が痛むからやめておく。


「………楽しみにしとくね」


地面に目を伏せ、小さく呟いた。


人々の賑わいに掻き消されてもいいと思ったけど、エルには届いたみたいで。



「ーーー楽しみにしてろ」



優しい響きを含んだその言葉に、あたしは小さく笑った。


……うん。やっぱり、あたし。





ーーーーーエルが好きだ。





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