世界の果てに - 百年の光 -
∴背負うもの
………‥‥
隣を歩くちびっこは、どうやら元気を取り戻したらしい。
この小さい体が背負っているものは、きっと俺が想像する以上に重いはず。
この国に着いてからは、きっとそれは嫌でものしかかってきているだろう。
…なら、そんな重さなんか忘れられるほど、俺たちが笑わせてやればいい。
何を間違えるのか、俺は怒らせてばかりな気がするが。
「あっ!見て見てエル!アメルティカ名物のお饅頭だって!」
黒い大きな瞳を輝かせながら、ちびっこが指差す先には、でかい看板がやたらと目立つ小さな出店がある。
ちびっこの声が届いたのか、その店に立つ男がこっちを向いた。
「いらっしゃい!」
サラリと揺れる金髪に、灰色の瞳。
その無駄に輝く笑顔を見て、俺は言葉を失った。
「ーーーダルク!?」
ちびっこが隣で、驚いたように名前を呼ぶ。
それを受けてにっこりと微笑むのは紛れもなく、度々顔を合わせる腐れ縁のダルクだった。
あの神隠し事件から再び、こんなところで会うとは……つーか、何でコイツがアメルティカの名物売りさばいてんだ。