世界の果てに - 百年の光 -
ダルクはちびっこのふざけた言葉に乗るわけでもなく、曖昧に笑った。
「…僕がここにいるのは、君たちの力になるためだよ」
「何だと?」
「勝手だけどね。…大体の話は、もう知ってる」
ダルクの瞳が、ちびっこに向けられた。
「ここじゃ誰が話を聞いてるか分からないし…場所を移そうか」
ダルクに連れられて辿り着いたのは、小さな家だった。
賑わう商店街から外れた場所で、それでも周囲に式典の雰囲気は漂っている。
「最近アメルティカに来て、一応はここが僕の家だよ」
扉を閉めながら、ダルクはそう言って俺たちを奥へ促した。
窮屈そうに置かれたソファに座るなり、ちびっこが不安そうにダルクを見た。
「……知ってる、って?」
「そのままの意味だよ。…君は、異世界からこの世界に呼ばれたんだってね」
ダルクはカップに紅茶を注ぎ、目を丸くするちびっこの前に置いた。
「傾いているこの世界を救うーーー生け贄に、なるために」
目を細めたダルクの言葉に、ちびっこはそっと視線を伏せた。