世界の果てに - 百年の光 -
ローアンと共に"月の咆哮"で過ごした日々は、決して忘れることなんて出来ない。
俺たちは盗賊ならではのずる賢さと行動力で、多くの情報を得ていた。
…けどまさか、異世界から来た人間がいて、俺たちと旅をしているなんて。
そんな情報を、一体どこから手に入れたっていうんだ?
「…実はね、エル。リュウさんは僕より前から、この国にいるんだ」
「…何だって?」
「さらに驚くことに、リュウさんが今いるのはーーー城だよ」
含み笑いを浮かべたダルクの言葉通りに、俺とちびっこは驚きで目を見張った。
リュウが、この国の城に?何のために?
ダルクは紅茶をゆっくりと口に運ぶと、俺の疑問に見合う答えを口にした。
「最初は、盗賊としてこの国の盛大な式典に目を付けただけだった。人が賑わう場所ほど、盗みは気付かれにくい。…いつものように過ごす中で、リュウさんは"神の祭壇"の噂を聞いた」
「……"神の祭壇"?」
「そう。生け贄が捧げられるという場所らしいよ」
それを聞いたちびっこの表情が、見るからに曇っていく。
それもそうか。…自分がそこに捧げられようとしてるんだから。