世界の果てに - 百年の光 -
「……で?」
ちびっこの顔色を伺いながら先を促すと、ダルクが小さく息を吐き出した。
「リュウさんは前にも一度、その噂を耳にしたことがあったらしい。この式典と噂のタイミングに、何か裏があるって思ったらしいよ。…さすがだよね」
「…それで城に?」
「そう。持ち前の腕で城の衛兵として潜り込んだんだって。…それで腕を見込まれて、今小隊長の立場」
本当に凄いよね、とダルクは笑った。
「それから城内で情報を集めて、国王が何かを企んでいること、それが五十年前のある事件に関係していること…そして、黒髪の少女を捜していることが分かった」
ダルクの瞳が、ちびっこと俺を交互に見た。
「前に君たちに会ったとき、リュウさんから"月の咆哮"に誘われてるって話をしたよね?その時のエルの状況を…勝手だとは思ったけど、僕はリュウさんに手紙で伝えたんだ」
ーーーああ、なるほど。
ダルクの今の言葉で、全てが繋がった。
「リュウは国王が捜してる女が、俺と一緒にいる女なんじゃないかと思ったんだな?」
「そう、ご名答。リュウさんは僕に、この国に来るように言ったんだ。エルたちが来たときに、少しでも力になれるようにって」
穏やかに微笑むダルクに、ずっと黙って話を聞いていたちびっこが口を開いた。
「…でも、どうしてリュウがさんはあたしたちがこの国に来るって分かったの?」
そうだ。俺たちがアメルティカを目指すと決めたとき、ダルクでさえ近くにはいなかった。