世界の果てに - 百年の光 -
「南のガイアじゃ内乱が起きるし、北西のサイリアじゃ稀な大干ばつだ。ここ最近、世界が揺れ動いてる」
オーガはため息をつくと、隣のオレを振り返った。
「空から人が降ってきたってことも、有り得るかもな」
「…そうだね」
オレは曖昧に笑うと、イチゴミルクを一気に飲み干した。
「ごちそうさま。二人ともありがとう。オレ、もう行くよ」
席を立ち上がると、オーガが不満そうな声を漏らした。
「もう?せっかく話が盛り上がってきたってのに」
「あはは、ごめんね」
「…しゃーない。またどっかで会おうぜ、アスティ。お前も旅人か何かだろ?」
オーガに肩を小突かれ、オレは笑って頷いた。
「うん、また。お代置いておくね」
「まいどありっ!」
オーガと店主の視線を背中に感じながら、俺はカフェを出た。
空を見上げると、どんよりと雲が歪んできていた。
「…どうしよう、ね」
ポツリと呟いてから、オレは足を踏み出した。