世界の果てに - 百年の光 -
∴掌に想いを込めて
………‥‥
爽やかな朝。
そう言えば聞こえはいいけど、実際あたしにとっては全く爽やかな朝じゃなかった。
「いっ……たーい!何すんのよエル!乙女の敵ッ!」
「あん!?人騒がせなアホに指導しただけだろーが!」
エルに思いっきりつねられた頬を擦りながら訴えれば、返ってきたのは、暴言。
でも言い返せなかったのは、確かにちょこーっと人騒がせな行動を取ってしまったからだ。
「あはは、ごめんねリオ」
…この、悪びれもなく笑ってるアスティのせいで!
昨日はダルクと簡単な打ち合わせを終えて、あたしとエルは宿に戻ってきた。
アスティはまだ部屋にいなくて、エルと二人きりという事実を忘れ去るべく、さっさと眠りについたあたし。
今朝、目が覚めてもアスティの姿はなくて、心配になったあたしは宿の外に出た。
…そして馬小屋の前を通ったとき、クリスに寄りかかるように倒れていたアスティを見て、小鳥が一斉に木から飛び立つほどの大きな悲鳴をあげてしまったのです。
ええ。それはもう、エルが血相を変えて飛び出してくるくらい。