世界の果てに - 百年の光 -

さらに畳み掛けるように、それまでおろおろと(たぶん)見守っていたクリスが、あたしに語りかけてくる。


『リオさん、すみません。アスティ様が寝てしまって、起こしていいのか悩んでるうちにわたしまで…』


「謝らないで、クリス。そもそもあたしの勘違いだから」


あたしは苦笑しながら、クリスに肩を竦めてみせた。そして、眉を下げたままのアスティを見る。


「…何もなくて良かった!」


「リオ…」


「よーし、今日はどうしよっか!」


何か言いたそうなアスティを遮って、あたしは張り切るふりをして拳を握った。


だってそうしないと、決戦の日まで心が持たないから。


…エルとアスティには、もうあたしの弱い心なんかお見通しだと思うけど。


「ーーー行くぞ」


へ?と思うや否や、腕をエルにがしっと掴まれる


「ちょ、な、」


「アスティもな」


あたしと同じくきょとんとしたアスティに視線だけ向けてから、エルはズカズカと歩き出した。

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