世界の果てに - 百年の光 -
何がなんだか分からないうちに、賑わう城下町とは逆方向に引っ張られ、人気のない林に入っていく。
「ねぇ、エルッ…」
そんなエルの態度が心配になって名前を呼ぶと、ようやく足を止めて振り返った。
けれどエルの琥珀色の瞳は、あたしを通り越して、数歩後ろにいたアスティを捉える。
「アスティ、構えろ」
その言葉の意味が分からずにいたあたしの視界から、突然エルが消えた。
かと思えば、何度聞いても慣れない金属音が響く。
「ーーーーー…っ!?」
驚いて振り返った先には、信じられない光景があった。
エルの長剣を、アスティの二本の短剣が受け止めているーーーつまり、エルがアスティに斬りかかったということ。
「〜ちょっと、何してんのエル!」
あたしが声を張り上げても、エルはその手を休めない。
最初は受ける一方だったアスティも、徐々に攻撃を仕掛けるようになってきた。
…何?何なの?
まさかさっきのことで喧嘩してるの!?
一人焦るあたしを無視し、二人の戦いは激しさを増していく。