世界の果てに - 百年の光 -
「戦いの最中に、丸腰で飛び込んでくる奴がいるか!?俺たちの腕が確かだから止められたんだからな!?おい、聞いてっ…」
勢いよく捲し立てるエルが、途端に口をつぐんだ。
明らかに怒っていた表情が、困ったように眉を下げる。
「……アスティ。これは俺のせいか?」
「そうだね。間違いなく」
後ろから、アスティのいつもの声が聞こえる。
あたしは二人の戦いが止まったことで、安心して涙が溢れていた。
「…っく、な、何でなの…?」
「あん?」
「何で、こんなことになったの…?」
止まらない涙を拭いながら、あたしが問い掛けると、エルがフンと鼻を鳴らした。
「気に入らねぇんだよ」
「だ、だからって…斬りかかることないでしょっ。アスティだって反省して…」
「何言ってんだ。気に入らねぇのはお前だ、ちびっこ」
………へ?
何を言われたのか理解できなくて、涙が引っ込んだあたしはぱちくりと瞬きを繰り返す。
「…えーと…あたし?」
「他に誰がいるんだよ」
舌打ちでもしそうな勢いで、エルがそう言いながら剣を鞘に収める。
剣がカシャンと音を立てたとき、ようやく正常な思考が働いた。