世界の果てに - 百年の光 -
…ちょっと待って。何であたし!?
「あたしが気に入らないからって、何でアスティに斬りかかるのよ!…っていうか気に入らないって何!」
確かに今朝大騒ぎしちゃったけど、ちゃんと謝ったじゃない!
負けじと言い返したあたしに、エルは目を閉じて深いため息をつく。
すぐにスッと開いた琥珀色の瞳は、真っ直ぐにあたしを捉えていた。
「…お前が、俺たちを信じてないのが気に入らない」
「な、に…」
「俺たちがやられるんじゃないかって思ってんのが、気に入らねぇんだよ」
何も言い返せないあたしの後ろで、気配が動く。アスティが短剣を収めながら、エルの隣に並んだ。
「…リオ。心配してくれるのは嬉しいんだよ」
「………」
「でもね。オレたちは半端な覚悟で、この世界に挑んでるわけじゃないんだ」
そう言って笑うアスティは、ね?とエルに同意を求める。
「当たり前だ。お前を拾ったあの日から、覚悟なんかとっくに決まってる」
ーーー覚悟。
その言葉の意味と、二人が言おうとしている意味が…二人が戦い始めた意味が、分かった。
「俺たちは、敗けない。だから、俺たちを信じろ」
エルの言葉は、いつも直球で。力強く、優しく響く。