世界の果てに - 百年の光 -
「…それでいいんだよ。お前は、自分の心配だけしてれば、それで」
「………!」
…エルは、どうして不意討ちが上手いんだろう。
そんな優しい目で見られたら、憎まれ口なんてたたけなくなる。
「わ…分かったから、もう二人で斬り合ったりしないで」
たどたどしくそう言うと、エルは「どーすっかなぁ」なんて言い出した。
「久しぶりにアスティと剣合わせたけど、やっぱ違うわ。体鈍るといけねぇし、もう少しやってくか」
「ちょっ…、」
「あ、それオレも少し思った。やってく?」
「ちょっと、アスティまで!」
慌てるあたしをよそに、エルが長剣を抜き、その切っ先であたしの腰にある鞘を揺らした。
その重みを思い出し、思わずどきりとする。
「言っとくが、いつだってお前の側にいられるとは限らないんだからな」
「………っ」
「最低限の基礎は、今日で完璧に叩き込んでやる」
悪魔のようにニヤリと笑ってそう言うエルに、あたしは唇をきゅっと結んだ。
そして剣の柄に手をかけると、ゆっくりと抜く。
ーーーあたしは、みんなを護りたい。