世界の果てに - 百年の光 -
……気付けば、辺りはすっかり薄暗くなってきていた。
式典を祝う音楽が、遠くで楽しそうに響いている。
「……はぁっ…」
剣の特訓でへとへとで、そんな楽しい気持ちになれないあたしは、ぐったりと木にもたれかかった。
「も、無理っ…、筋肉痛になるっ」
「情けねぇな」
はん!と鼻で笑うエルは、長剣を鞘に収めるとその場に座り込んだ。
アスティはと言うと、二本の短剣を磨きながら、欠伸を繰り返している。
「ふあーぁ。…そういえば、昨日の収穫ってなんだっけ?」
「………ああっ!」
その言葉に、あたしはがばっと起き上がった。
そうだ、大事なこと話すの忘れてたじゃんっ!
「明日の待ち合わせに、リュウも来ることになった」
エルがサラリとそう答えると、アスティは目を丸くした。
「リュウ……"月の咆哮"の?」
「そ。ちなみにダルクもこの国にいる」
アスティに昨日の事を話すエルは、どこか飄々としていて、過去のしがらみを振り切ったように思えた。
そんなエルの姿に、ホッとする。