世界の果てに - 百年の光 -

ん?そういえばあたし…昨日エルの手を握っちゃったよね?


エルが勇気を持てるように、大丈夫だよって伝えたくて思わず体が動いたんだけど…思い出すと恥ずかしい!


疲れて火照った体に、さらに別の熱が籠る。手でパタパタと顔を扇ぐあたしをよそに、エルはアスティに説明を続けていた。


「ーーーつまり、今この国には俺たちの他に味方が四人いるってわけだ」


「えーと。オーガと、リュウさんと、ダルクと…」


「フィオとかいう魔術師だ。コイツに関しては信用できるかどうか分かんねぇけどな」


片手で髪を掻き上げながら、けど、とエルが続ける。


「オーガと、フィオ。元凶となる国王の近くにいるこの二人が味方にいるのは、かなり有利だと言える」


「うん。リュウさんも、敵陣に紛れ込めてるしね」


…そっか。それを聞いて改めて、みんなに助けて貰えてる事実が、とてもありがたいことだと感じる。


あとはあたしが、国王をーーー倒せるかどうか。



無意識に、ティアラから貰った剣を両手でぎゅっと抱えていると、アスティがあたしを呼んだ。


「…リオ。リオは一人じゃないからね」


「アスティ……」


優しく微笑んだアスティが、王子様のように見える。……本当の王子様なんだった。


「ありがとう。あたし頑張るねっ!」


「よし、その意気で次の練習な」


こっちには本当の悪魔が。

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