世界の果てに - 百年の光 -
あたしはじとっとエルを睨んだあと、反論するのを諦めて立ち上がる。
そんなあたしを、エルが意外そうに見ていた。
「どうした。おかしくなったか」
「…その言い方どうなの」
いいんだ。エルにアスティみたいな優しさを求めるのは間違ってるんだから。
エルなりの不器用な優しさを知ってるからーーーそれで、いい。
「今日は夜まで頑張る。その代わり…明日の待ち合わせまでは、三人で町をまわりたいの。いいでしょ? 」
じっと見つめてそう言うと、エルの瞳が一瞬揺れたのが分かった。あたしが言いたいことが、伝わったんだと思う。
アスティは何も言わずに、あたしとエルを交互に見ている。
「……分かった」
少し間を置いてから、エルはポツリとそう言った。
てっきり何かしら小言が飛んでくるかと思ったけど…変なの。
「…よしっ!やろう!」
ぐっと両手に力を入れると、ブレスレットが手首で揺れた。
このブレスレットが外れたときは、きっとこの世界が救えたとき。
そしてそれはーーー終わりの合図。
確実に近付いている別れを悲しむくらいなら、あたしは。
この世界で、少しでも多くの幸せを感じたい。