世界の果てに - 百年の光 -
∴最後の休息
「……あっ!これかわいいっ!」
城下町にあった、小さな雑貨屋さん。
そこに半ば強引にエルとアスティを引っ張りこみ、あたしはピンク色の珠が揺れる髪飾りを手に取った。
「どう?似合う?」
髪に添えてくるりと振り返ると、アスティが首を傾げる。
「うーん、リオにその色はあんまり似合わないね」
「…ちょっと。そこはお世辞でも可愛いって言うところなんですけど」
正直な感想を真顔で言い放ったアスティの隣で、エルが盛大に吹き出した。
「〜っははは!」
ケラケラと笑い続けるこの男も、どうやらデリカシーというものがないらしい。知ってたけどね!
「ふんだ!二人に聞いたあたしがバカでした!」
髪飾りを戻そうとすると、アスティの手がひょいと伸びてきた。
驚いたあたしの手から落ちそうになった髪飾りは、アスティの手のひらに収まる。
「…女の子って、こういうのが好きなの?」
「へ?…そりゃあ好きだけど…どうして?」
アスティは揺れる髪飾りをじっと見つめたあと、口を開いた。
「喜ぶ物を、プレゼントしたい子がいるんだ」
そう言ったアスティの表情は穏やかで、思わずどきっとしてしまった。