世界の果てに - 百年の光 -
あんなに普段口うるさいエルなのに、全く会話に入ってこないなんて。
好きな子いたことないのかな?……いたら少し複雑だけど…っていうか、もしかして今現在いたりするの?
「リオ?大丈夫?」
「うわっはいい!」
アスティが急に顔を覗き込んできたことに驚いて、あたしは後ろに一歩退がった。すると。
「あっ…、」
足をとられ傾いた体が、とすんと何かにぶつかった。
「……っぶね」
頭上から聞こえてきた声と、上を向いたあたしの瞳に映るオレンジ頭。
エルの胸に、あたしは背中から倒れたんだと理解するのに、そう時間はかからなかった。
「ーーーーー…っ、」
正直に反応したあたしの顔は、きっと真っ赤になっていたと思う。
そんなあたしを見たエルは、少し目を見張ってから、気まずそうに視線を逸らした。
ーーーダメ。傷ついちゃ、ダメ。
「……ごっ、ごめんね、エル!」
何とか自力で体勢を立て直し、あははと大げさに笑って見せる。