世界の果てに - 百年の光 -
そこからの時間は、本当にあっという間だった。
あたしが入りたいお店には全部付き合ってくれたし(エルは渋々だけど)、美味しそうな食べ物も好きなだけ食べた。
式典の前日とだけあって、至るところで催し物を行っていて、最前列で観たりもした。
あたしたちは誰もがいつも通りで、言い合いをしたり、笑い合ったりして。
これからも、こんな日が続くんじゃないかとさえ思った。
幸せで、かげがえのない時間がーーー…
「……そろそろ、向かおうか」
アスティがそう口にしたのは、日が傾き始めた頃だった。
少し緊張を含んだ声音に、あたしの心は現実に引き戻される。
「そうだな。確か本屋だったっけか」
思わず俯いてしまったあたしの隣で、エルが何ともないように「場所は?」とアスティに訊いた。
エルらしいな、と笑ったあたしは、勇気を持って顔を上げる。
「前にもらった地図が……あ、あった。これだね」
アスティは持ち歩いていた鞄の中から、小さな紙切れを取り出して広げた。