世界の果てに - 百年の光 -

オーガが書いてくれた手書きの地図には、赤い丸印が書かれた場所が一ヶ所だけあった。


「えーっと…目印は……あ、あれかな」


アスティが地図と城下町を交互に見比べ、ある方向を指差した。


そこにあったのは大きな時計台で、地図にはその時計台の後ろ側に丸印が書かれている。


「そんな遠くねぇな」


「そうだね。…行こう、リオ」


アスティに柔らかく微笑まれ、あたしは小さく頷いた。


「……うん、行こう」


歩くうちに会話は徐々に減り、まだ賑わう城下町から、あたしたちはどんどん切り離されていくようだった。


目印となった時計台は、エルの言う通り割りと近くにあり、その裏側に回り込んで初めて、気の抜けた声が漏れた。


「………あれ?」


何回瞬きを繰り返しても、近くに本屋さんは見当たらない。


「何だ、間違えたか?」


「そうかな。時計台が他にもあるのかも」


エルとアスティは地図を見ながら、辺りを見回し、他の時計台を探している。

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