世界の果てに - 百年の光 -
途中で後ろを振り返ると、既に壁が現れていて、外の景色は見えなくなっていた。
…出られなくなっちゃうとかないよね?なんて物騒な考えを振り払い、壁に手を当てながら階段を下っていく。
少し下りたところで、一つの小さな扉が現れた。目配せをしたあと、エルがゆっくりと扉を開く。
その先に見えたのは、沢山の本棚に、山積みの本が置かれたカウンター。
「待ち合わせは、ここで合ってそうだけど…誰もいないね」
アスティがきょろきょろと辺りを見回し、カウンターに近付いていく。すると。
「お客さんかね?」
「わっ!?」
カウンターの下から、小さな老人がひょこっと顔を出した。
もじゃもじゃの白髪に覆われ、目がほとんど隠れてしまっている。それでも、その瞳はあたしたちへ向けられたのが分かった。
「え、えーと…お客と言うか、ここで待ち合わせをしてるんですけど…」
あたしがそう答えると、お爺さんは「ああ!」と言って手をポンと叩いた。
「君たちがオーガの知り合いかな?ちょっと待ってておくれ」
お爺さんはせかせかと本棚の間に消え、少ししてから違う足音と一緒に戻ってきた。
「ーーーよう、ちゃんと会えたな!」
オーガの笑顔が、お爺さんの後ろからあたしたちへ向けられる。