世界の果てに - 百年の光 -
そのへらっとした笑顔に、あたしは安堵のため息をついた。
「オーガ…良かった。ここで合ってたんだね」
「そう。フィオがかけた魔術で、俺と…あとは魔術の根源が同じリオちゃんしか、あのスイッチは押せないことになってる」
万が一来なかったら、迎えに行くつもりだったけどねーとオーガは笑い、スッと真面目な表情へ変わった。
「…さて。役者は揃ってるから、作戦会議といきますか」
あたしたちは無言で頷き、オーガに続いて本棚の隙間を抜けていく。
お爺さんは見張りとして、そのままカウンターに残っていた。
突き当たりの本棚の間に扉があり、オーガは躊躇いなく取っ手に手をかけ、奥に開く。
その先に見える小さな部屋にいたのは、椅子にゆったりと腰掛けるダルク。そして、向かいの椅子に腰掛け、机に右肘を置き頬杖をしているのが…たぶん、リュウさんだ。
一番予想していなかったのがーーー…
「きゃー!エル!久しぶりねっ!」
「なっ、ユーリ!?」
サラリと伸びた金髪を頭上で一つに結び、エルに勢いよく抱きついたのは、ダルクの妹、ユーリだった。
「何でお前がいんだよ」
「もう、バカダルクを一人で他国に行かせるわけないでしょっ」
頬を膨らませるその表情は、女のあたしから見ても可愛い。