世界の果てに - 百年の光 -

「エルとアスティは、二人が現れたタイミングで牢から出て欲しい。そして、リオちゃんとユーリちゃんを人質にとる」


「人質!?」


思わず声を上げてから、ハッとして片手で口を押さえる。


エルが「人質は得意分野だろ」なんてボソッと言うから、あたしはエルを睨んでからオーガを見た。


「……オーガ、ごめんね遮って」


「ははっ。形だけだから大丈夫だって。もちろん、牢番は驚いて戦闘態勢をとる。…そこで後ろからリュウが現れて、牢番を気絶させる」


…ということは。その段階で、地下牢にはオーガとダルク、フィオ以外の全員が揃うってこと。


「ここからようやく、目的の部屋を目指す。城内を把握してる俺とリュウ、ユーリちゃんで一番通りやすいルートを考えたーーーそれが、このルート」


オーガは取り出した赤いペンで、地図上に国王の部屋までのルートを書き、あたしとエル、アスティに見せた。


「決して短い距離じゃない。リュウとユーリちゃんがついてるとはいえ…何が起きるか分からないから、三人にもルートを覚えて欲しい」


縮小した地図も渡すけどね、と笑ったオーガに、あたしは頷いてから口を開く。


「その間、オーガとダルクはどこにいるの?」


「ああ、俺は城内をうろうろしてるよ。国王の見張りも兼ねてね。動きがあったら、まずダルクに伝える」


「…ダルクに?」


オーガの視線を受け、ダルクが頷いてから何かを机の上に置いた。

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