世界の果てに - 百年の光 -
式典当日とだけあって、街が昨日より活気づいていた。
音楽は絶えず流れているし、人々の笑い声も風に乗り、どこまでも楽しそうに響いている。
「……何か、変な感じだね」
隣を歩くアスティが、俺と同じ感想を呟いた。
俺は徐々に近づいてきた城を見つめ、口を開く。
「心配すんな」
「…え?」
「今日が終わったら、俺たちもバカ騒ぎして笑ってるさ」
ニヤリと口角を上げると、アスティはぱちぱちと瞬きを繰り返し、すぐに笑った。
「うん。そうだね」
それから他愛もない会話を繰り返し、城門の近くの酒場の裏で、リュウは俺たちの手首を後ろで縛った。
いくらほどきやすいように縛ってあるからといって、手の自由が利かないのは不愉快だ。
「これで良し、と」
アスティの手首を縛り終えると、その縄の先を持って、リュウが城門の様子を伺う。
「……門番が増えるかと思ったけど、いつも通り二人だな。行くぞ、二人とも」
緊張感は、まるでなかった。それは、リュウが飄々としていたからかもしれない。
リュウと、縛られた俺たち二人を見て、門番は軽く敬礼をする。