世界の果てに - 百年の光 -

「お早うございます!」


「お早う。早速だけど、盗賊を捕まえてきたから地下牢に連れていく」


「はっ!牢番に伝えます!」


門番の一人が、近くにいた兵士を呼び止め、リュウの言葉を伝えた。


兵士が去っていくのを見届けてから、リュウが俺達を縛っている縄を引く。


「…ついてこい」


紺色の瞳が鋭く細められ、その辺りの演技は完璧だ。


俺達も、リュウの演技に合わせるように表情を作ってみせた。


従いたくない。けど、力に敗けたからには、従うしかない。精一杯の不機嫌な顔で、俺達はリュウに連れられて歩く。



途中、何度と衛兵にすれ違っても、不審に思われはしなかった。


順調に足を進め、地下へと続く階段を下りていく。地下牢独特の湿った空気が流れてきた頃、前を歩くリュウが足を止めた。


「お疲れ」


「ハッ!リュウ隊長、お疲れ様です!」


牢番二人がリュウの声に反応し、敬礼をする。その目はすぐに、俺達へ向けられた。


「…話は伺っております。その悪党は我々が責任を持ってお預かり致します」


汚いものを見るかのような、蔑む視線。それに対抗するように睨み返した所で、リュウが「いや、」と声を上げた。
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