世界の果てに - 百年の光 -
「そうして貰いたい所なんだけど…こいつらは今までの輩とは違うんだ。俺でも手こずったくらいだ」
「えっ…隊長がですか?」
「悔しいけどね。万が一暴れても困るから、俺が責任持って牢に繋ぐ。君達は見張っててくれ」
リュウの言葉にすっかりと騙された牢番二人は、再び敬礼をし、俺達を先に通した。
通りすがりにもう一度睨んだあと、リュウに乱暴に牢屋へ投げ込まれた。
舞い散る埃と、投げ込まれた衝撃で咳き込みながらも、アスティの腕を牢に繋げるリュウと牢番の間に、遮るように体を上手く挟む。
俺が繋がれるときは抵抗をしてみせ、リュウと揉み合うようにすることで、手錠から注意を逸らせることにした。
「…くれぐれも、妙な真似はするなよ。よし、あとは頼んだ」
リュウが牢から出て、鍵を閉める…フリをした。この場を任されたことが嬉しいのか、牢番たちは口許を緩ませ、リュウの背中を見送った。
……とりあえず、ここまでは問題無し。
ちらりとアスティを見ると、少し安心したのか、俺に小さく笑いかけた。
「………」
薄暗い牢屋に、ザッと視線を走らせると、武器になりそうな物は何もなかった。…まぁ、当たり前か。
俺達が下りてきた階段付近に、背中合わせにして牢番が立っている。一人は階段を、一人は牢屋を見張っていた。
牢番から見て、牢屋は左右に縦長に並んでいる。俺達がいるのは、向かって右側の真ん中辺りだった。