世界の果てに - 百年の光 -
ーーーさて、どうすっか。
ちびっことユーリが地下牢に来るまで、三十分以上はある。
ふぅ、と息を吐き出したその時、俺は初めて向かい側の牢屋に人影があることに気付いた。
「………は、?」
思わず声を漏らすと、そんな俺の反応に、アスティが首を傾げた。
「…エル、どうしたの?」
ヒソヒソと小声で話しかけてきたアスティの方を向けずに、俺は向かい側の牢の中にいる人物から…いや、人物達から目が離せなかった。
数にして、五。
俺にヒラヒラと手を振るのは…かつて"月の咆哮"で、一緒に盗賊をやっていた仲間達だった。
何で、と思ったのは一瞬で、すぐに現状を理解してため息をつく。
「…前にいるやつら、"月の咆哮"のメンバーだ」
「えっ?」
「多分、今はリュウの元にいて…今日の日の為にわざと捕まったと考えんのが普通だよな」
アスティはすぐに理解したのか、フッと笑った。
「すごいね。味方がいっぱいだよ、エル」
「…不安もいっぱいだけどな」
口ではそう言いつつも、素直に嬉しいと思う。
こんな状況でも、俺に笑顔を向けてくれている、かつての仲間と。共に戦っている、今の仲間がいる。
ーーー終わらせるんだ、全て無事に。