世界の果てに - 百年の光 -
「……うん、そうだね」
「ユーリ。僕も忘れないで欲しいんだけど…」
「あんたは黙ってなさい」
ピシャッと言い放つユーリに、しょぼんと肩を落とすダルク。そんな二人に元気付けられて、あたしは深呼吸をしてから口を開いた。
「よし!行こう。ダルク、クリスをお願いね」
「ああ、任せてよ」
一人城の外に待機するダルクは、この部屋でみんなと連絡を取ることになっている。
連れていけないクリスの事を頼み、あたしとユーリは城へ向かって歩き出した。
黙々と歩き、あっという間に城門に到着する。
ちょうど城で働く人たちが集まる時間帯なのか、城門を多くの人がくぐっていた。
「…ついてきて」
ユーリは小さくそう言うと、堂々と城門まで進む。あたしも精一杯の普通の表情で、そのあとを追った。
「お早うございます」
「ああ、お早う」
笑顔で挨拶をするユーリに、門番が挨拶を返す。その視線は、すぐに次の挨拶をした人に向けられ、どうやらあたしには目もくれないみたいだった。
ドキドキしながらしばらく歩き、ようやく城へと足を踏み入れた。
「……わぁ…」
アスティの祖国、メルティアスの城に入ったときも凄かったのを覚えているけど、アメルティカの城も凄い。
天井は吹き抜けになっていて解放感があり、装飾は磨きあげられているのか、目映い光を放っている。