世界の果てに - 百年の光 -
ユーリの美人効果で、男の人はすぐに用意する!と張り切って厨房の奥へと消えた。
…何だか女として悔しいけど、そんなこと言っていられない。
数分後に、食事が入れられたバスケットを受け取り、あたし達はすぐに地下牢へと向かった。
「何か…すごく軽いね」
「そりゃそうよ。パンしか入ってないもの」
「えっ?そうなの?」
「囚人用だもの。豪華なフルコースが出ると思う?」
ユーリはそう言って笑うと、何かを思い出したかのように「あ、」と声を上げた。
「そうだ。あたし、あなたに言わなきゃと思ってたことがあるのよね」
「……あたしに?」
「そう。エルのことで」
ーーーエル。
その名前が出たことで、心臓がドクンと嫌な音を立てて響く。
両手に抱えたバスケットをぎゅっと抱きしめ、あたしはユーリを見た。
何となくだけど、思っていたこと。ユーリはきっとエルのことーーー…
「あたし、エルのこと何っとも思ってないから」
…だよね、やっぱり………ん?