世界の果てに - 百年の光 -

ユーリの美人効果で、男の人はすぐに用意する!と張り切って厨房の奥へと消えた。


…何だか女として悔しいけど、そんなこと言っていられない。


数分後に、食事が入れられたバスケットを受け取り、あたし達はすぐに地下牢へと向かった。


「何か…すごく軽いね」


「そりゃそうよ。パンしか入ってないもの」


「えっ?そうなの?」


「囚人用だもの。豪華なフルコースが出ると思う?」


ユーリはそう言って笑うと、何かを思い出したかのように「あ、」と声を上げた。


「そうだ。あたし、あなたに言わなきゃと思ってたことがあるのよね」


「……あたしに?」


「そう。エルのことで」


ーーーエル。


その名前が出たことで、心臓がドクンと嫌な音を立てて響く。


両手に抱えたバスケットをぎゅっと抱きしめ、あたしはユーリを見た。



何となくだけど、思っていたこと。ユーリはきっとエルのことーーー…


「あたし、エルのこと何っとも思ってないから」


…だよね、やっぱり………ん?
< 537 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop