世界の果てに - 百年の光 -
「その通りです。正確に言えば魔術師ですけどね。…ここではその力も役に立ちませんが…」
どこか諦めたような、そんな表情。それよりも気になったのは、『魔術師』という単語だった。
「ーーーーーフィオ?」
まさか、と思いながら、一度も会ったことのない協力者の名前を呼ぶ。
するとその瞳は、驚いたように丸く見開かれた。
「僕の名前を…?」
「やっぱりフィオなの!?」
直感が当たったことに浮かれながらも、あたしは左手をフィオの前に差し出した。
銀色に輝く、ブレスレット。
それを見た瞬間、フィオの中であたしが誰なのか答えが出たようだった。
「………リオ、さん…?」
ゆっくりと、震える声でフィオがあたしの名前を口にする。
黒髪だったらすぐに分かったかもしれないけど、今のあたしは赤茶のウィッグがしっかりと装着されていた。
もう必要ないと判断し、ウィッグを取ってからこくんと頷くと、フィオは泣き出してしまいそうなくらいに顔を歪める。
「あなたが…!僕の、僕のせいでっ…すみません…!」
必死に謝る、その姿。それだけで、彼がどれだけ苦しんでいたかが分かる。
フィオの心の叫びが、痛いくらいに伝わってきた。