世界の果てに - 百年の光 -

泣きたくなる気持ちをこらえて、フィオの瞳をしっかり捉えてから口を開く。


「マーサはね…あたしたちと一緒に、旅をしてたの」


「………え?」


「今も、この国にいる。世界が元通りになることを…祈ってくれてるんだよ」


呆然としているフィオに、あたしがこの世界に来てからのことを、ザッと説明した。


魔術の根元であたしとクリス…マーサが繋がり、話せることや、エルとアスティという強く優しい盗賊の元で守られていたことを伝えると、フィオの瞳からは涙が溢れていた。


「良かった…、良かったなマーサ…!」


あたしはフィオの背中を擦りながら、じわりと滲んだ涙を拭った。そして、決意を新たにする。


「…フィオ、何とかしてここを抜け出さなくちゃ」


「はいっ…」


「全てを終わらせよう。それしかないよね!」


両手で拳を作って立ち上がると、フィオは乱暴に顔を拭ってから微笑んだ。


「はい!自分のかけた魔力を上回れるように…頑張ってみます」


「うん!あたしも色々試してみる!」


そうは言ったけど、きっとここから抜け出すのは簡単なことじゃない。最悪夕方までにエルたちに探し出してもらうしかない…か。


「フィオ、この牢屋って城のどの辺りにあるの?場所だけでもなんとか伝えられればいいんだけど」


鉄格子をガタガタと揺らしてみながらそう訊ねると、フィオは言いづらそうに「それが…」と言って続けた。


「…ここは、城の中ではありません。"神の祭壇"の地下牢なんです」


ーーーーー…、え?


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