世界の果てに - 百年の光 -

階段の付近に腰掛けていた牢番も、その音に気付き、階段の上を見上げた。


「……おい?どうした?」


その牢番の問いに、上からの返事はない。そして、やがて聞こえる階段を下りる足音。


俺たちの間に、嫌な緊張が走った。


「…ああ、隊長。どうかしましたか?」


牢番は、階段を下りてきた相手を見て、安堵の表情を浮かべた。…が、次の瞬間その体は崩れ、床に倒れた。


「ーーーリュウ!」


地下牢に現れたのは、リュウだった。

ただ、その姿を見ても安心できなかったのは、リュウ一人しかいなかったこととーーー緊迫した表情が目に入ったから。


「リュウ!お前、何で一人でっ…、」


両手を縛っていた縄を簡単にほどき、鉄格子を掴む。リュウは駆け足で俺とアスティのいる牢屋まで来ると、鍵を開けた。


「急いで出ろ、二人とも」


「…リュウさん、一体何が…」


「ユーリとの通信が途絶えた」


リュウが早口でそう答えると、地下牢がシン、と静まり返る。


俺たちの仲間で、城の外にいるのはダルクだけ。そのダルクと連絡が取れる小型通信機を持つのは、リュウ、オーガ…それと、ユーリだ。


ユーリとの通信が途絶えたってことは、ユーリの身に何かが起こったということ。


つまり、ユーリと一緒に行動していたちびっこもーーー…

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