世界の果てに - 百年の光 -
「…連絡は、どこまで入ってるの?」
冷静なアスティの質問に、頭が真っ白になっていた俺はハッと我に返る。
「食事をこれから地下牢へ運ぶーーーそうダルクに報告が入ってから数分後、途絶えたらしい」
苦しそうに顔を歪ませたリュウが、くるりと向きを変え、"月の咆哮"のメンバーが入る牢の鍵を開け始める。
「作戦は変更だ。オーガには既に城内を探して貰ってる。俺たちも急ごう」
「…そいつらは何の為に?」
俺がそう訊くのと同時に、ガチャンと音を立てて牢が開く。ぞろぞろと外に出たかつての仲間たちは、それぞれが体を伸ばし始めた。
「かーっ、慣れねぇ牢生活は辛ぇな!」
一際デカい声でそう言いながら、大きく伸びをしたのは、現"月の咆哮"の副リーダーになったらしいビクス。
「ようエル、でかくなったな!」
「……あんたもな」
俺がそう返すと、ビクスはその巨体を揺らして豪快に笑う。
「わはは!減らず口は変わんなくて安心した!…よっしゃ、エルの為に一肌脱ぐぜおめぇら!」
「「おお!!」」
「は?ちょ、待っ…、」
俺が制止するより早く、ビクスたちは唸り声を上げながら牢屋から出る階段を駆け上がって行った。
唖然とする俺の肩を、リュウがポンと叩く。