世界の果てに - 百年の光 -
「あいつらの役目は、城中の目を俺たちから逸らす…つまり、囮役だ」
そう言ったリュウは、恐らくこの城の衛兵用であろう長剣を俺の手に握らせる。
「衛兵を引き付けてもらってる間に、俺たちはリオちゃんとユーリを探す。いいな?」
「………分かった」
言いたいこと、聞きたいことはまだあった。ただ、それを話してる時間すら今は惜しい。
かつての仲間たちの腕は、俺だって知ってる。…なら、信じて任せるしかない。
「俺とアスティは、オーガと合流してちびっこを探す。アイツの剣はオーガが持ってるからな」
「ああ。オーガは王の間付近から探してるらしい。そしたら俺は…」
「リュウはユーリを探せ。もし何らかの原因でちびっこの正体がバレてたら、同じとこには捕まらないと思うしな」
それに心配なんだろ、とニヤリと笑って付け加えると、リュウは困ったように頭を掻いて頷いた。
「…悪いな。ユーリの無事が確認できたら、俺も合流する」
「おう。あとでな」
足早に牢屋を出ていくリュウを見送ってから、アスティを振り返る。
「……よし、俺たちも行くか」
「うん。エル、さっきより余裕そうだね」
そう言って微笑むアスティに、まぁな、と短く返事をしてから階段を駆け上がる。