世界の果てに - 百年の光 -
アイツはきっと、どこかに捕まったとしても…諦めたり、べそかいたりはしない。
何とかして、俺たちと会おうともがくだろう。そういう女だってことを、十分すぎるほど知っている。
だから。アイツが、無理をしないように。
「……俺たちが護ってやらなきゃって、思うんだ」
小さく、本当に小さく呟いた言葉。けどアスティに届いてしまったようで、階段を上りきった時、優しい笑みを向けられた。
「エル。…全部、無事に終わらせようね」
「…あったりめーだ」
ゴツン、とアスティの額に拳を当てると、「暴力反対」とアスティが楽しそうに笑った。
そんな気の抜ける返事をくれる相棒に、俺はいつも感謝している。絶対に口にしないけど。
長い渡り廊下の奥から、騒がしい悲鳴や物音が聞こえる。ビクスたちが動き始めたんだろう。
それなら俺たちは、なるべく見つからないように城内を動きまわらなきゃならない。
「………」
スッと瞼を落とし、昨日確認した城内の見取り図を思い出す。
オーガは国王の部屋付近を探してるってことは…こっちから行った方が早いな。国王と鉢合わせだけは避けたい。
瞼を持ち上げると目に映る、傾いた世界。
「…行くぞ、アスティ」
ーーーこの世界の、俺たちの、希望の光を救いに。