世界の果てに - 百年の光 -
∴戦うべき相手
ーーー…
エルとオレの記憶を頼りに、当初向かう目的地であった王の間へと足早に進む。
…作戦では隣にいるはずだった仲間が、今ここにいない。
完璧に作戦通りにいくことはないと分かっていても、早くもリオがいなくなるなんて。
「……邪魔だっ!」
城内の所々に配置されている兵達を、エルが次々と薙ぎ倒していく。
リオを助けたい一心からか、琥珀色の瞳で鋭く相手を見据えるその姿は、まるで鷹のようで。
敵にまわしたら恐ろしいだろうな、なんてオレは呑気なことを考えていた。
「おいアスティ!休んでんじゃねぇ!」
「だって、エルがみーんな倒しちゃうんだもん」
「お前が遅いんだよっ!」
喚くようなエルの声は、正直敵に居場所を教えているようなものだった。
けれど、"月の咆哮"の人たちが囮になってくれているおかげか、あらゆる所から爆音が聞こえ、エルの声を上手く消してくれている。
階段をいくつも駆け上がり、あと少しで王の間…という所で、名前を呼ばれた。
「おい!アスティ!エル!」
「……オーガ!」
王の間がある一つ下の階で、オーガが息を切らしながらオレたちの元へ走ってきた。
「上の階と、今いるこの階はもう探したけどいない。…こっちへ」
オーガは素早く辺りを見渡すと、近くの扉を開けて中に滑り込んだ。